PayPayで仮想通貨が買える仕組み
最初に押さえておきたいのは、PayPayアプリそのものが暗号資産を売っているわけではないという点です。実際に売買を行うのは、金融庁に暗号資産交換業者として登録されているBinance Japan(関東財務局長 第00031号)です。PayPayは2025年10月9日、Binance Japanの株式の40%を取得して持分法適用会社にしたと発表し、そこからPayPayの残高とBinance Japanの口座をつなぐ機能が段階的に加わってきました。
Binance Japanは国内でもっとも多くの銘柄を扱う取引所で、ビットコインやイーサリアムのほか、BNBなど他社にない銘柄も買えます。ただし、PayPayからその場で支払って買えるのは販売所取引所が売買の相手方になる形式。金額を入れるだけで買えるが、買値と売値の差(スプレッド)が実質的なコストになる。での購入に限られます。Binance Japanそのものの評価や手数料体系はBinance Japanのレビューで詳しく見ています。
PayPayと暗号資産の関係は、ここ数年で大きく動きました。主な出来事を時系列で整理すると次のとおりです。
- 2023年LINE BITMAXと連携 PayPayマネーでLINE BITMAXの暗号資産を買えるようになりました。LINE BITMAXは2026年6月1日にサービスを終了しています。
- 2025年1月「ポイント運用 ビットコインコース」 PayPayアプリ内で、ビットコイン価格に連動してポイントが増減する疑似運用が始まりました。
- 2025年10月9日Binance Japanへの40%出資を発表
- 2025年11月21日PayPayマネー・ポイントで購入可能に 販売所での購入代金をPayPayから直接支払い、売却代金をPayPayマネーで受け取れるようになりました。
- 2026年4月9日事前入金・出金に対応 PayPayマネーを口座に入金しておき、板取引にも使えるようになりました。
- 2026年8月18日事前入金の上限を引き上げ 24時間30万円から100万円、30日間100万円から200万円になりました。
- 2026年9月30日PayPay加盟店でBinance Payが利用可能に 対象は海外のBinance Payユーザーで、日本居住者は使えません。
使える残高・使えない残高:マネーとマネーライトの違い
PayPayの残高にはいくつか種類があり、Binance Japanで使えるかどうかがはっきり分かれます。使えるのはPayPayマネーとPayPayポイント、使えないのはPayPayマネーライトと期間限定のPayPayポイントです。
PayPayマネーは、PayPayの本人確認を済ませたあとに、銀行口座やATM、Yahoo!フリマの売上金などからチャージした残高です。銀行口座へ送金(払い出し)できるのが特徴です。一方、PayPayマネーライトPayPayクレジットやPayPayカードなどでチャージした残高や、本人確認前にチャージした残高。支払いには使えるが、銀行口座への送金はできない。は、PayPayクレジットやPayPayカード、ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いでチャージした分です。本人確認の前にチャージした残高も、チャージ方法にかかわらずマネーライトになります。PayPayのヘルプによれば、あとから本人確認をしても、すでに持っているマネーライトがマネーに変わることはありません。
つまり、「PayPayに残高はあるのに買えない」というときは、その残高がマネーライトである可能性が高いということです。暗号資産の購入に使いたいなら、本人確認を済ませたうえで、銀行口座などからチャージし直す必要があります。eKYCスマートフォンで本人確認書類と顔を撮影するなどして、オンラインで完結させる本人確認の方法。(オンライン本人確認)は、Binance JapanとPayPayの両方で別々に必要です。
PayPayポイントは、PayPayアプリでポイントを「支払いに使う」設定にしておくと、PayPayマネーと組み合わせて、またはポイントだけで支払えます。ほかのポイントとの比較はポイントで仮想通貨を買う方法でまとめています。
手数料と上限額:3つの使い方で違う
PayPayとBinance Japanのお金のやりとりは、「購入時にPayPayから直接払う」「PayPayマネーを先に入金しておく」「PayPayマネーに出金する」の3通りです。手数料と上限は次のとおりです。
| 項目 | 購入時にPayPayから支払う | PayPayマネーを事前入金 | PayPayマネーへ出金 |
|---|---|---|---|
| 手数料 | 無料 | 1回110円 | 1回110円 |
| 上限(24時間) | 100万円 | 100万円(2026年8月18日に30万円から引き上げ) | 100万円 |
| 上限(30日間) | 200万円 | 200万円(同日に100万円から引き上げ) | 200万円 |
| 使える売り場 | 販売所のみ | 販売所と取引所(板) | — |
| 最低金額 | 1,000円 | 公式告知では確認できず | 1,000円 |
いちばん手軽なのは、購入のたびにPayPayから直接払う方法です。手数料はかからず、販売所で金額を入れるだけで買えます。事前入金は1回110円かかりますが、入金した日本円は板取引でも使えるのが利点です。2026年8月18日の変更で、事前入金の上限は24時間100万円・30日間200万円に引き上げられました。Binance Japanの告知によれば、PayPayが他社サービスにも同様の上限を設けた場合は合算で管理されることがあります。
なお、PayPay側にも残高の上限があり、受け取るとその上限を超えてしまう出金はできません。大きな金額を動かすなら、PayPayマネーではなく銀行口座への出金(150円)を組み合わせるのが現実的です。
連携から購入までの手順
連携の操作そのものは数分で終わりますが、その前に両方のアプリで本人確認を済ませておく必要があります。PayPayの告知にもとづく、おおまかな流れは次のとおりです。画面の名称はアプリのバージョンによって変わることがあります。
Binance Japanの口座を開設して本人確認を済ませる
Binance Japanのアプリで口座を開設し、本人確認を完了させます。使える本人確認書類や撮影の手順は、Binance Japanのヘルプで最新の案内を確認してください。
PayPayの本人確認(eKYC)を済ませる
PayPayアプリで本人確認を完了させます。これをしないと、残高はすべてマネーライトになり、暗号資産の購入には使えません。
Binance Japanのアプリを最新版にする
PayPay連携は新しいバージョンのアプリで提供されています。古いままだと連携の入口が表示されないことがあります。
販売所のPayPayアイコンから連携をオンにする
販売所の画面でPayPayのアイコンを選び、アカウント連携に同意します。この操作が必要なのは最初の1回だけです。
金額を入れて購入する
1,000円以上の金額を入力し、PayPayマネーやPayPayポイントで支払います。売るときは、売却代金の受け取り先としてPayPayマネーを選べます。
口座開設そのものの流れや、本人確認で引っかかりやすい点はビットコインの買い方で詳しく解説しています。
売却してPayPayマネーに戻す
Binance Japanで暗号資産を売ると、代金をPayPayマネーとして受け取れます。手数料は1回110円で、銀行口座への出金(150円)より40円安く、上限は24時間で100万円、30日間で200万円です。2025年11月の開始時点では販売所で売ったときに直接受け取る形でしたが、2026年4月9日からは口座に置いてある日本円をあとから出金することもできるようになりました。
受け取ったPayPayマネーは、そのまま加盟店での支払いに使えるほか、PayPayの規定にそって銀行口座へ送ることもできます。普段の買い物はPayPay、余ったお金で少しずつビットコインを買い、利益が出たら一部をPayPayに戻す、という使い方ができるのがこの連携のいちばんの特徴です。換金ルート全体の比較は仮想通貨を日本円に換金する方法で紹介しています。
コストを抑えるなら:事前入金して板取引で買う
PayPayから直接払う購入は手軽ですが、販売所での購入になるため、価格にスプレッド同じ時点の買値と売値の差。販売所では手数料の代わりの実質的なコストになり、相場が荒れると広がる。が含まれます。Binance Japanは販売所のスプレッドを公表していません。参考までに、数値を公表しているCoincheckの販売所は0.1〜5.0%です。
一方、PayPayマネーを110円で事前入金すれば、ユーザー同士で売買する板取引(取引所)売りたい人と買いたい人の注文を価格順に並べて突き合わせる市場。手数料は小さいが、注文方法を理解する必要がある。で買えます。Binance Japanの板取引の手数料は、もっとも低いランクでメイカー・テイカーとも0.10%(BNBで支払うと0.075%)です。たとえば10万円分を買うなら、板の手数料は100円、事前入金の110円と合わせて210円ほどです。販売所のスプレッドが約0.2%を超えるなら、板で買う方が安くなる計算です。数千円の購入なら手間に見合わないこともあるので、金額に応じて使い分けましょう。各社の比較は取引所の手数料比較でまとめています。
なお、販売所と板取引では扱っている銘柄が違います。Binance Japanの取扱銘柄は66ですが、日本円で板取引できるペアは27です。買いたい銘柄が板にない場合は、販売所を使うことになります。
PayPayアプリの「ポイント運用」との違い
PayPayアプリには、2025年1月から「ポイント運用 ビットコインコース」があります。名前が似ているので混同されがちですが、仕組みはまったく別物です。
Binance Japan連携で買う
本物の暗号資産を、金融庁登録の取引所の口座で保有します。ほかの取引所やウォレットへの送金、日本円での売却ができ、利益は暗号資産の売買として課税の対象になります。
ポイント運用 ビットコインコース
ビットコインの価格に連動してPayPayポイントが増減する疑似的な運用で、PPSCインベストメントサービスが提供しています。ビットコインそのものは受け取れず、証券口座も不要です。
「とりあえず値動きを体験したい」ならポイント運用、「実際にビットコインを持ちたい」ならBinance Japan連携、という使い分けになります。アプリ連携の全体像は仮想通貨が買えるアプリでも整理しています。
訪日客向け:PayPay加盟店でBinance Payが使える
2026年9月30日からは、全国のPayPay加盟店で海外のBinance Payユーザーが暗号資産で支払えるようになりました。越境QR決済の仕組み「HIVEX」を通じた機能で、店舗側には日本円で入金されます。報道によれば、Binance Payは100以上の国と地域で約4,800万人に使われています(2026年6月1日時点)。
ただし、これは訪日観光客向けの機能で、日本居住者やBinance Japanの利用者は対象外です。日本に住んでいる人がPayPay加盟店で暗号資産払いをすることはできません。暗号資産を使える店の現状は仮想通貨が使える店で紹介しています。
税金:PayPayで受け取っても課税は同じ
PayPayマネーで暗号資産を買っただけでは、税金はかかりません。課税のタイミングは、売却したとき、ほかの暗号資産に交換したとき、暗号資産で支払いをしたときです。売却代金をPayPayマネーで受け取っても、銀行で受け取ったときと扱いは同じで、利益は原則として雑所得給与や事業などに当てはまらない所得の区分。給与など他の所得と合算して税率が決まる(総合課税)。になり、所得税と住民税を合わせて最大55%の累進課税です。
Binance Japanは国内の登録業者なので、年間取引報告書をもとに損益を計算できます。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。PayPayポイントで買った分の取得価額の考え方など、細かな点は税務署や税理士に確認してください。計算の基本は仮想通貨の税金と確定申告で解説しています。
外国籍の方・在留カードで使うときの注意
在留カードを持つ外国籍の方も、PayPayとBinance Japanの両方で本人確認ができれば、この連携を使えます。ただし、PayPayの本人確認には注意点があります。PayPayは2026年7月7日の告知で、2026年6月14日以降に発行された在留カードと特別永住者証明書は、当面PayPayの本人確認書類として使えないと案内しました。対応の準備中で、開始時期が決まりしだい知らせるとしています。急ぐ場合はマイナンバーカードでの申請が勧められています。
また、PayPayのヘルプでは、在留カードで本人確認をする場合、有効期限が申請時点で90日以上残っていることなどが条件とされています。在留カードを更新したばかりの人や、更新が近い人は、手続きのタイミングに気をつけてください。外国籍の方向けの口座開設のポイントは英語版のガイド(Crypto for foreigners in Japan)で詳しく紹介しています。
Binance(グローバル版)とは別のサービスです
Binance Japanは、海外のBinance(binance.com)とは別に日本で登録された取引所です。日本居住者のBinanceのアカウントは2023年にBinance Japanへ移行しており、グローバル版は日本居住者向けにサービスを提供していません。海外取引所の現状は海外取引所の撤退・警告まとめを参照してください。
PayPayで仮想通貨を買う:よくある質問
PayPayアプリの中で直接ビットコインを買えますか?
PayPayアプリそのものに暗号資産の売買機能はありません。PayPayと連携したBinance Japanのアプリで、PayPayマネーやPayPayポイントを使って購入する仕組みです。PayPayアプリの「ポイント運用 ビットコインコース」は価格に連動してポイントが増減する疑似運用で、本物のビットコインは受け取れません。
PayPayマネーライトで仮想通貨は買えますか?
買えません。Binance Japanで使えるのは本人確認済みのPayPayマネーとPayPayポイントだけで、PayPayマネーライトと期間限定ポイントは対象外です。クレジットカードなどからチャージした残高や、本人確認前にチャージした残高はマネーライトになります。
PayPayポイントだけで買えますか?
買えます。PayPayアプリでポイントを「支払いに使う」設定にしておけば、ポイントだけで、またはPayPayマネーと組み合わせて支払えます。最低購入額の1,000円は同じです。
売ったお金をPayPayに戻すと手数料はいくらですか?
1回110円です。出金の上限は24時間で100万円、30日間で200万円で、PayPay側の残高上限を超える出金はできません。銀行口座への出金は150円なので、PayPayで使う予定があるならPayPayマネーで受け取る方が安くなります。
PayPayで買った仮想通貨に税金はかかりますか?
買っただけでは税金はかかりませんが、売却やほかの暗号資産への交換で利益が出れば、原則として雑所得の対象です。売却代金をPayPayマネーで受け取っても扱いは同じで、Binance Japanが発行する年間取引報告書を計算に使えます。
PayPayとBinance Japanの連携は解除できますか?
できます。PayPayの告知では、連携はいつでも解除できると案内されています。再び使いたくなったら、販売所の画面から改めて連携すれば利用できます。





