Crypto OTC desks in Japan

暗号資産を大口でまとめて売買する:国内OTCデスクの使い方

数千万円分のビットコインを板で一度に買えば、自分の注文で価格が動きます。金融庁登録業者のOTC(相対取引)デスクについて、条件、価格の決まり方、日本円の入金、法人口座の書類、保管と税金までを、各社の公式資料をもとに整理しました。

結論

国内で大口取引をするなら、金融庁登録業者のOTCサービスを使います。OKJは10秒間有効な確定価格を24時間365日提示し、Zaif Prime Deskは1,000万円相当から、Coincheck PrimeとSBIVC for Primeも1,000万円規模が目安です。決済は日本円のみで、事前入金が基本、手数料は価格に含まれます。

  • 各社の公式説明書・FAQで条件を確認
  • 金融庁の登録番号を全社に併記
  • 無登録の海外デスクは区別して表示
書類に署名するビジネスパーソン。法人の大口取引では契約書類や本人確認書類の準備が欠かせない

OTC(相対取引)とは?板で買うのと何が違う

OTCOver The Counter(店頭・相対)。取引所の板を通さず、業者と顧客が1対1で価格と数量を決めて売買すること。大口取引で使われる。(相対取引)は、取引所の板買い注文と売り注文が価格ごとに並んだ一覧。ここで注文が突き合わされて売買が成立する。に注文を出すのではなく、業者と顧客が1対1で価格と数量を決めて売買する方法です。業者が自分で売り手や買い手になり、決まった価格で一度に約定させます。株式の世界でいう立会外の大口取引に近いイメージです。

なぜわざわざOTCを使うのか。理由は板の厚みにあります。板には各価格帯に限られた量の注文しか並んでいないため、数千万円規模の成行注文を出すと、安い売り注文から順に食い進み、平均の約定価格がどんどん不利になります。これがスリッページ注文を出した時点の価格と、実際に約定した平均価格の差。板が薄いときや大口注文で大きくなる。です。さらに、大きな注文が板に現れること自体が、ほかの参加者に動きを悟られる原因にもなります。

OTCでは、約定の前に価格が確定します。提示された価格を受け入れればその価格で全量が約定し、受け入れなければ取引は成立しません。アプリで手軽に買える販売所取引所が売り手・買い手の相手方になって売買する形式。操作は簡単だが、買値と売値の差(スプレッド)が実質的なコストになる。も業者が相手という点では同じですが、販売所は少額の個人向けで、OTCは大口向けに条件を個別に詰める窓口だと考えると分かりやすいでしょう。1,000万円を下回る金額なら、指値注文を分けて板で買うほうが安く済むこともあるので、まずは取引所の手数料比較でコストの感覚をつかんでおくと判断しやすくなります。

1,000万円Zaif・Coincheck・SBIの大口向けサービスの目安となる金額各社公式ページ
10秒OKJの大口OTCで提示される確定価格の有効時間OKJ 大口OTC取引説明書
日本円のみ国内登録業者のOTCで確認できた決済通貨各社公表資料

金融庁登録業者の大口・OTCサービス一覧

当サイトが各社の公式ページや説明書で確認できた、国内の大口・OTCサービスは次のとおりです。いずれも金融庁に暗号資産交換業者として登録された会社で、登録番号は金融庁の登録一覧で照合できます。条件の多くは個別の問い合わせで決まるため、表は入口の目安としてご覧ください。

国内の金融庁登録業者が提供する大口・OTCサービス(各社の公式ページ・説明書より)
事業者(登録番号)サービスと対象最低金額・条件価格の決まり方と受付
OKJ
関東 第00020号
大口OTC取引。OKJ法人プレミアの顧客(上場企業・適格機関投資家・事業法人など)金額は非公表。法人プレミアの対象であること10秒間有効な確定価格(クォート注文)、手数料なし。24時間365日、BTC・ETH・CCの対円
Zaif
近畿 第00001号
Zaif Prime Desk。Zaifの口座がない企業も問い合わせ可1,000万円相当以上担当者が電話・チャットで手数料込みの一括価格を提示。BTC・ETHほか対円
Coincheck
関東 第00014号
Coincheck Prime。法人向けに大口OTC・保管・ステーキングをまとめて提供1,000万円以上を保有・取引したい法人非公開。対円
SBI VCトレード
関東 第00011号
SBIVC for Prime。個人・法人とも対象になりうる1,000万円以上の預かりか取引予定、またはWeb3参入法人販売所・取引所の価格に最大1%のキャッシュバック。専用RFQデスクは未確認
BitTrade
関東 第00007号
大口OTC(法人向け)覚書で定める取引量・預かり資産の条件専用Web画面で発注。平日10〜19時、BTC・ETH・XRP、1回最大10BTCなど

OKJ:公開情報がもっとも詳しい大口OTC

OKJ(オーケーコイン・ジャパン)は、2025年4月に法人向けの「OKJ法人プレミア」を始め、2026年3月25日にその顧客向けの大口OTC取引を開始しました。当初はBTCの買いのみでしたが、4月22日にETH、5月7日に売り注文が加わっています。取扱いはBTC/JPY、ETH/JPY、CC(Canton Coin)/JPYの3ペアで、24時間365日受け付けます。

仕組みは「クォート注文」と呼ばれるRFQRequest for Quote。顧客が数量を伝えて業者に価格を提示してもらい、その価格を受け入れると約定する方式。型です。顧客が数量を指定すると、OKJが10秒間有効な確定価格を提示し、顧客がそれを受け入れると約定します。スリッページは発生せず、約定後の取り消しはできません。1回の上限はBTC 10枚、ETH 100枚、CC 10万枚で、それを超える数量は相談に応じます。手数料はなく、コストは売値と買値の差に含まれます。OKJが自ら相手方となり、事前入金を前提に当日中に受け渡しを行います。顧客の日本円は金銭信託で保全され、暗号資産は分別管理されますが、信託による保全の対象ではないと説明書に明記されています。

Zaif Prime Desk:1,000万円相当から、担当者が価格を提示

Zaifは近畿財務局に登録された2社のうちの1社です。Zaif Prime Deskは1,000万円相当以上の取引を対象に、BTC/JPYとETH/JPY、要望に応じてほかの対円ペアも扱います。専任の担当者が電話やチャットで条件を聞き、手数料込みの一括価格を提示する方式で、別途の手数料はありません。Zaifの口座を持っていない企業でも問い合わせができます。受付時間や受け渡しのタイミング、保管の詳細は公開情報では確認できませんでした。

Coincheck Prime:法人向けの大口OTCと保管をまとめて提供

Coincheckの旧OTCページは、現在は法人向けの「Coincheck Prime」に統合されています。対象は1,000万円以上の暗号資産を保有している、または取引したい法人で、大口OTC取引のほか、ステーキング、資産をロックする「Coincheck アセットロック」、カストディ、専任スタッフによる対応がセットになっています。価格の提示方法やスプレッドは公表されていません。かつて「最低50BTC」「10BTCから」といった条件が案内されていましたが、2018〜2019年当時のもので現在は当てはまりません。Coincheckの法人口座は1万社を超えています。サービス全体の評価はCoincheckのレビューをご覧ください。

SBIVC for Prime:大口の個人も対象になりうるプログラム

SBI VCトレードの「SBIVC for Prime」は、1,000万円以上の預かり残高がある、1,000万円以上の取引を予定している、Web3事業に参入する法人である、のいずれかに当てはまれば利用できます。販売所の月間取引額が1,000万円以上なら翌月に最大1%のキャッシュバック、レバレッジ取引の大口キャッシュバック、貸コインの優遇、JVCEAの外務員資格を持つ専任担当者などが特典です。公式ページには「OTC」や「RFQ」の記載はなく、海外のマーケットメイカーを通じた特別なスプレッドでのOTCという二次情報は確認できませんでした。同社は口座管理料、日本円の入出金手数料、暗号資産の送金手数料がいずれも無料です。詳しくはSBI VCトレードのレビューへ。

BitTrade:法人向けの大口OTC画面

BitTrade(旧フォビジャパン)は、2022年3月から法人向けの大口OTCを提供しています。取引量や預かり資産について覚書で定めた条件を満たす法人が対象で、事前入金のうえ、専用のWeb画面で平日10時から19時まで発注できます。対象はBTC、ETH、XRPで、1回の上限はBTC 10枚、ETH 100枚、XRP 10万枚です。

Laser Digital Japan と bitFlyer Prime:これからの機関投資家向け

野村グループのLaser Digital Japanは、2026年8月21日に関東財務局長 第00032号として登録されました。2022年以来となる新規登録で、JVCEAの会員でもあります。取扱いはBTC、ETH、XRP、BCH、LTC、SHIBの6銘柄。まず国内の取引所への流動性供給から始め、機関投資家向けの取引は「今後発表」としています。個人向けの計画はなく、最低金額や決済条件、本人確認の要件も公表されていません。

bitFlyerは2026年7月13日、機関投資家や事業会社向けのプライムブローカレッジ「bitFlyer Prime」を2027年に始めると発表しました(bitFlyerのプレスリリース)。OTCの執行はbitFlyer、保管はグループの株式会社Custodiem(関東 第00002号)が担う計画です。最低金額や決済方法はまだ公表されていません。現行サービスはbitFlyerのレビューで紹介しています。

そのほかの主要取引所

bitbankは法人向けサービスと高取引量向けの「VIPプログラム」を用意していますが、条件やOTC・RFQデスクの有無は確認できませんでした。決済は日本円のみで、日本国外に住む個人は口座を開けません。GMOコインにはOTCが見当たらず、大口向けの仕組みは1日3,000万円超〜1億円の「大口出金」(手数料400円)のみです。Binance Japanの公式手数料ページには取引量に応じたVIP手数料の表(VIP1は30日間の取引量100万ドルと5BNBの保有で、メイカー0.090%・テイカー0.100%)が載っていますが、OTCは確認できませんでした。メルコインには大口・法人向けサービスがありません。各社の詳細はbitbank、GMOコイン、Binance Japanの各レビューをご覧ください。

OTC取引の流れ:問い合わせから受け渡しまで

各社で細部は違いますが、公表資料から読み取れる大まかな流れは共通しています。初めての場合、口座開設に郵送の手続きが入るため、問い合わせから最初の約定までは余裕をもった日程を組むのが現実的です。

  1. 対象条件を確認して問い合わせる

    各社の大口・法人向けページで、最低金額や対象者(法人のみか、個人も可か)を確認し、窓口に問い合わせます。

  2. 口座を開設する(法人KYC)

    履歴事項全部証明書や取引担当者の本人確認書類、実質的支配者の申告などを提出し、転送不要郵便の受け取りで開設が完了します。

  3. 日本円を事前に入金する

    本人名義の口座から指定の銀行口座へ振り込みます。OTCは事前入金が前提で、与信枠は確認できませんでした。

  4. 見積もりを受けて約定する

    数量を伝えて提示された価格を受け入れると約定します。OKJは10秒間有効な確定価格、Zaifは担当者の一括価格提示です。

  5. 保管・出金と記録

    約定した暗号資産は取引所で保管するか、自社ウォレットへ送ります。取引記録は税務申告と会計処理のために保存します。

手数料はどこにかかる?スプレッドと価格の確定

国内の登録業者で、OTCに別建ての手数料を設けている例は見つかりませんでした。コストはすべて提示価格の中、つまり市場の中値からどれだけ離れた価格かというスプレッド同じ時点での買値と売値の差。OTCでは提示価格と市場の中値との差が実質的な手数料になる。に含まれています。OKJは「手数料なし、コストは売値と買値の差」と明記し、Zaifは手数料込みの一括価格、BitTradeも専用画面の価格で約定します。SBIVC for Primeは通常の販売所・取引所の価格に、取引量に応じたキャッシュバックを組み合わせる形です。

判断のコツは、提示価格を受けた瞬間に、同じ取引所や他社の板の中値と比べることです。たとえば5,000万円分のビットコインを買うとき、提示価格が中値より0.3%高ければ、実質のコストは約15万円です。同じ金額を板で成行注文した場合のスリッページと比べれば、OTCが割安かどうかが見えてきます。OKJのように確定価格の有効時間が10秒と短い仕組みでは、比較の準備をしてから見積もりを依頼するとよいでしょう。

もう一つのポイントは、約定の取り消しができないことです。OKJの説明書は、クォート注文が約定したあとは取り消せないと定めています。数量や売買の向きを入力し間違えても戻せないため、社内の承認手順を決めてから発注する体制を整えておくことをおすすめします。

決済は日本円のみ:入金・出金の実務

国内の登録業者で、ドル建てで決済できるOTCは確認できませんでした。公表されている取引ペアはすべて日本円建てで、資金は国内の銀行から日本円で振り込みます。与信枠のようなしくみも見当たらず、事前入金が前提です。大口の入金先として多いのは、GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行、ドコモSMTBネット銀行です。

SBI VCトレード
500万円以上は「入金特別対応(銀行振込)」で受け付け。2026年8月19日に基準が1,000万円から引き下げられました。1回500万円〜10億円、着金確認から1〜2営業日で反映、振込手数料は自己負担です。
OKJ
日本円の入金先はGMOあおぞらネット銀行のみ。三菱UFJ銀行からの入金は受け付けていません。
Coincheck
GMOあおぞらネット銀行または楽天銀行の顧客ごとの専用口座へ振り込み、上限はありません。日本円の出金手数料は407円です。
GMOコイン
法人口座の入金は銀行振込のみ。出金は1日3,000万円まで無料、それを超える「大口出金」は1日1億円まで1回400円です。

入金はどの社も本人(法人なら法人)名義の口座からが原則です。また、金融庁と警察庁は2026年8月6日、日本円の入金や購入の直後に一定期間暗号資産の送金を制限すること、送金先アドレスの事前登録と待機期間、送金額の上限、送金人と口座名義の照合などを業界に要請しました。実際の運用は各社で異なりますが、買った暗号資産をすぐに自社ウォレットへ移したい場合は、送金の待機期間がないか事前に確認しておくと安心です。売却代金の出金方法は日本円に換金する方法でも整理しています。

法人口座の開設で求められる書類

OTCの多くは法人向けのため、まず法人口座の開設が必要です。各社の公開資料を比べると、求められる書類にはかなり共通点があります。基本は日本で登記された法人で、取引担当者が日本に住んでいることが条件です。SBI VCトレードは、法人、実質的支配者法人を最終的に支配している個人。議決権の保有割合などで判定され、口座開設時に申告を求められる。、代表者、取引担当者のいずれにも反社会的勢力や外国の重要な公的地位にある人がいないことも求めています。

  • 履歴事項全部証明書(発行から6か月以内の原本。SBI VCトレードは全ページ)
  • 取引担当者の本人確認書類(GMOコインは2種類)
  • 代表者以外が取引する場合は委任状や取引担当者届出書。印鑑証明書はbitbankとBitTradeで常に、SBI VCトレードでは代理人がいる場合に必要
  • 実質的支配者の申告(Coincheckは議決権50%基準で判定)
  • GMOコインは法人番号指定通知書と事業の実態を示す資料(取引先の請求書や許認可など)、合同会社は定款も
  • BitTradeは可能であれば決算書類も
  • 法人の所在地と取引担当者の住所への転送不要郵便(はがき)の受け取り

Coincheckは、申込者が75歳以上の場合や海外に住んでいる場合は受け付けておらず、パスキーの設定も必須です。登記簿で代表者の住所が非表示になっている場合は、住所を確認できる追加の書類が求められます。また2026年1月からは、国内の取引所で新しく口座を開く人や法人に、税務上の居住地国などを届け出るCARFOECDが定めた暗号資産の取引情報を各国の税務当局間で交換する枠組み。日本では2026年から口座開設時に居住地国などの届出が必要。の届出も求められています。

保管と期末時価評価課税への対応

大口で買った暗号資産をどこに置くかは、法人にとって税金の問題でもあります。法人が期末に保有する暗号資産のうち、活発な市場があるものは時価で評価し、評価益にも法人税がかかります(期末時価評価課税法人が事業年度末に保有する暗号資産を時価で評価し、含み益・含み損を課税所得に反映させるルール。)。ただし、JVCEAのルールに沿って譲渡制限をかけて保有する第三者発行の暗号資産は、原則として時価評価の対象外になります。

この仕組みに対応して、各社がロック型の保管サービスを用意しています。SBI VCトレードは1年以上のロックで、原則1銘柄1,000万円以上、対象は32銘柄。費用は無料で、期限前の解除のみ1銘柄1万円かかります。法人のステーキング報酬の配分も75%から90%に上がります。Coincheckのアセットロックは、BTC、ETH、XRP、FNCTを1銘柄1,000万円以上、1〜5年ロックするもので、2026年6月4日から無料になりました。BitTradeは1銘柄あたり約3,000万円以上が目安です。

保管の安全性も確認しておきましょう。GMOコインは顧客の暗号資産をすべてコールドウォレットとマルチシグで管理し、日本円は日証金信託銀行に信託しています。OKJは日本円を金銭信託で保全していますが、暗号資産は分別管理で、信託保全の対象外です。自社で保管する場合は、ウォレットの選び方で解説しているトラベルルール上の手続きも必要になります。

大口取引の税金と記録:個人と法人で違う

個人の場合、暗号資産の利益は原則として雑所得で、給与などと合算して所得税5〜45%と住民税10%がかかります。大口の売却益は、それだけで最高税率の帯に入りやすい点に注意が必要です。国税庁のFAQでは、暗号資産の年間の売上(収入金額)が300万円を超える場合、帳簿をつけていれば事業所得、つけていなければ業務に係る雑所得として扱う考え方が示されています。雑所得として扱われる限り、損失をほかの所得と相殺したり、翌年に繰り越したりはできません。

2026年3月に成立した税制改正では、金融庁の登録簿に載る「特定暗号資産」を、登録された暗号資産取引業者を通じて、または業者に対して売却した場合に、20.315%の申告分離課税と3年間の損失繰越しが認められます。国内の登録業者のOTCで売却する取引は、この対象になると考えられます。一方、海外のデスクや個人間での売却は総合課税のままになる見込みです。開始は新しい金商法の施行後で、早くても2028年1月です。制度が始まると、取引業者が顧客の氏名やマイナンバーなどを税務署に報告する仕組みも導入されます。

法人は法人税の対象で、前節の期末時価評価にも注意が必要です。また、改正金商法では暗号資産にもインサイダー取引規制が導入され、国内の取引業者が扱う暗号資産であれば、取引所、DEX、OTCのどこで売買しても対象になります。発行量の一定割合(政令で20%以上が予定)を超える大口取引の計画は重要事実に当たりうる一方、重要事実を互いに知っている当事者同士の取引所外の売買は適用除外とされています。個別の判断は税理士や弁護士に相談してください。基本は仮想通貨の税金ガイド、制度の変化は分離課税20%はいつから?で解説しています。

海外のOTCデスクは使える?無登録業者との線引き

海外には、B2C2、Cumberland、FalconX、Galaxyといった大手のOTCデスクがあります。しかし、日本で暗号資産交換業の登録を受けていない業者が日本居住者を相手に営業することは、資金決済法で禁じられています。金融庁の登録一覧に、これらの名前はありません。

海外の主なOTC・保管業者と日本の関係(各社公表資料・報道より)
事業者日本での登録日本の顧客との関係
B2C2 海外なし(同社自身が日本では免許・規制を受けていないと説明)2020年12月にSBIが支配権を取得。SBI証券の暗号資産CFDとSBI VCトレードの流動性提供者で、日本の顧客はSBIの登録業者を通じて間接的に関わるのみ
Cumberland 海外なし拠点はシカゴ、ロンドン、シンガポールなど。日本拠点なし
Matrixport 海外なし日本を利用制限国に指定
Komainu 海外なし野村グループなどが出資する保管業者。日本の拠点・免許は確認できず
SBI Zodia CustodyなしSBIとZodiaの合弁。金融庁への申請をしないまま2025年9月に解消

改正金商法では、登録業者が扱っていない暗号資産を無登録業者が販売した契約は、原則として無効と推定する規定も設けられました。税制上も、海外デスクでの売却は分離課税の対象外になる見込みです。日本居住者や日本法人にとって、海外デスクを直接使うメリットは小さく、リスクは大きいと言えます。海外取引所全般の状況は海外取引所の撤退・警告まとめをご覧ください。また、SNSで「大口でも即日現金化」とうたう個人業者は、無登録の相対屋として摘発された例があります。

目的別:どのデスクから当たるべきか

最後に、立場ごとの現実的な入り口をまとめます。どの場合も、まず金融庁登録の取引所一覧で登録番号を確認してから問い合わせてください。

  • 大口の個人:SBIVC for Prime、Zaif Prime Desk(個人可否は要確認)
  • 事業会社:Coincheck Prime、OKJ法人プレミア、BitTrade、SBIVC for Prime
  • 上場企業・機関投資家:OKJ法人プレミア、Laser Digital Japan(今後発表)、bitFlyer Prime(2027年予定)
  • 1,000万円未満:板取引で指値を分けて発注

24時間いつでも確定価格で約定したいならOKJ、担当者と相談しながら価格を決めたいならZaif、ステーキングや資産ロックまで一社で済ませたい法人ならCoincheck Prime、手数料無料の入出金と販売所キャッシュバックを重視するならSBI VCトレード、という選び方が考えられます。条件は改定されることが多いため、最終的には各社の最新の公式資料で確認してください。

暗号資産の大口取引(OTC)のよくある質問

暗号資産の大口取引は何円からできますか?

国内の登録業者では1,000万円がひとつの目安です。Zaif Prime Deskは1,000万円相当以上、Coincheck Primeは1,000万円以上を保有または取引したい法人、SBIVC for Primeは1,000万円以上の預かりか取引予定が条件です。OKJは「法人プレミア」の対象者向け、BitTradeは覚書で定める条件を満たす法人向けです。

個人でもOTCデスクを使えますか?

SBIVC for Primeは預かり残高や取引予定額で判定されるため、大口の個人も対象になりえます。Coincheck Prime、OKJの大口OTC、BitTradeの大口OTCは法人向けです。Zaif Prime Deskは金額条件のみ公表されているため、個人の可否は窓口で確認してください。

OTC取引の手数料はいくらですか?

国内の登録業者で、OTCに別建ての手数料を公表している例は見つかりませんでした。OKJは手数料無料で売値と買値の差がコスト、Zaifは手数料込みの一括価格です。SBIVC for Primeは販売所の取引量に応じて翌月に最大1%のキャッシュバックがあります。

ドル(USD)やUSDTで決済できますか?

国内の登録業者でUSD決済に対応したOTCは確認できず、公表されている取引ペアはすべて日本円建てです。大口の資金は、事前に日本円を国内の銀行から振り込んで用意するのが基本です。

海外のOTCデスク(B2C2など)と直接取引できますか?

日本で暗号資産交換業の登録を受けていない業者は、日本居住者を相手に営業できません。B2C2自身も日本では免許や規制を受けていないと説明しています。日本の顧客がB2C2の流動性に触れるのは、SBIグループの登録業者を通じた間接的な形に限られます。

大口で売却したときの税金はどうなりますか?

個人の場合、利益は原則として雑所得で、給与などと合算して最大55%です。法人は法人税の対象で、期末に時価評価が必要な場合があります。将来の20%分離課税は登録業者への売却が対象になる見込みで、開始は早くて2028年です。金額が大きいので税理士への相談をおすすめします。

出典・参考資料

  1. OKJ 大口OTC取引説明書
  2. OKJ 大口OTC取引の提供開始のお知らせ
  3. Zaif Prime Desk(OTC大口取引)
  4. Coincheck Prime
  5. SBI VCトレード SBIVC for Prime
  6. BitTrade 大口OTC取引について
  7. Laser Digital Japan 暗号資産交換業者登録の発表
  8. 金融庁 暗号資産交換業者登録一覧

CryptoJapan編集部
金融庁の登録情報、各社の公式手数料ページ、国税庁の公表資料をもとに編集部が作成・検証しています。内容は投資助言ではありません。 評価方法