「貯める」カードと「使う」カードは別物
「仮想通貨 クレジットカード」と検索すると、まったく性質の違うカードが同じ一覧に並んでいることがよくあります。最初に、この2つを分けて考えるところから始めましょう。
貯めるカード(国内)
中身はふつうのクレジットカードです。円で支払い、ポイントの代わりにビットコインなどの暗号資産が還元されます。
発行するのはアプラス、ライフカード、エポスカードといった国内のカード会社で、報酬は金融庁登録の取引所の口座に届きます。
使うカード(海外)
手持ちの暗号資産やステーブルコインを、支払いの瞬間に法定通貨に換えて決済するデビット・プリペイド型のカードです。
発行元の多くは海外の事業者で、日本の金融庁には登録されていません。日本居住者が申し込めるかどうかも不明確です。
日本に住んでいる人にとって、現実的な選択肢は前者です。2026年に入ってから、Binance Japan、EPOS×bitbank、SBIグループが相次いで新しいカードを出し、bitFlyerの従来カードと合わせて4枚の比較ができるようになりました。後者の海外カードは、旅行者や海外在住者には便利でも、日本居住者が使うには規制面の不確かさと、支払うたびに発生する税金の計算という二重のハードルがあります。
なお、国内の取引所でクレジットカードを使って暗号資産を直接買う方法は、原則として用意されていません(例外はZaifの積立専用カード払いなど)。「カードで仮想通貨を買いたい」という方は、入金・購入方法まとめで使える支払い手段を確認してください。
国内で申し込める4枚の比較
暗号資産が還元される国内のクレジットカードを、公式発表で確認できた条件で並べました。どれも、提携する暗号資産交換業者金融庁に登録し、暗号資産の売買や交換を業として行う事業者。日本居住者向けに営業できるのはこの登録業者だけ。の口座を持っていることが前提になります。
| カード | 発行会社・ブランド | 還元 | 年会費 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| bitFlyerクレカ | アプラス/Mastercard | BTCで0.5%(プラチナは1.0%)※ | 一般カードは無料。プラチナは有料※ | bitFlyerの口座。2025年10月にタッチ決済に対応 |
| Binance Japanカード | ライフカード/JCB | BNBで1.6% | 初年度無料、以降1,650円(年10万円以上の利用で無料) | 18歳以上の日本居住者、Binance Japanの本人確認済み |
| EPOS CRYPTO Card for bitbank | エポスカード/Visa | BTC・ETH・ASTRから選んで0.5% | 永年無料 | bitbankの口座。月々の請求をBTCで支払うことも可能 |
| SBI VISA 暗号資産カード(ゴールド) | アプラス/Visa | BTC・ETH・XRPから選んで0.5%(ゴールド1.0%) | 初年度無料、以降1,650円(ゴールド6,600円) | SBI VCトレードの口座。還元通貨は申込時に選択 |
単純計算で、毎月10万円(年間120万円)をカードで払うと、還元率0.5%なら年6,000円相当、1.0%なら1万2,000円相当、1.6%なら1万9,200円相当の暗号資産が貯まります。ただし、還元は円ではなく暗号資産で届くため、受け取った後の値動きで価値は増えも減りもします。還元率の数字だけで比べず、どの通貨で貯まるかとどの取引所に貯まるかを一緒に見るのがポイントです。
bitFlyerクレカの数字について
bitFlyerの公式サイトは今回の調査環境から閲覧できなかったため、還元率(一般0.5%・プラチナ1.0%)とプラチナの年会費(2万2,000円、年300万円以上の利用で無料)は2026年の比較記事の記載にもとづいています。プラチナカードは2026年3月請求分から年会費などの条件が改定されたと発表されていますが、改定の詳細は確認できていません。申し込む前に必ず公式ページで最新の条件を確認してください。
4枚それぞれの特徴と向いている人
bitFlyerクレカ:ビットコイン一本で貯めたい人に
アプラスが発行するMastercardで、利用額に応じてビットコインがbitFlyerの口座に貯まります。4枚の中ではもっとも歴史が長く、2025年10月14日にはタッチ決済にも対応しました。還元はビットコインのみなので、ほかの通貨を選ぶ必要がない分、仕組みはシンプルです。bitFlyerは1円からビットコインを買える老舗の取引所で、詳しくはbitFlyerのレビューで手数料や入出金のルールを確認できます。
Binance Japanカード:還元率重視で、BNBを受け入れられる人に

ライフカードが発行するJCBカードで、2026年1月13日に申し込みの受付が始まりました。利用額の1.6%がBNBBinanceのブロックチェーンで使われる暗号資産。取引手数料の割引などに使われ、価格の変動が大きい。で還元され、Binance Japanの口座に自動で付与されます。還元率は4枚の中で最も高い一方、受け取るのはビットコインではなくBNBです。BNBはBinanceの事業との結びつきが強い通貨なので、値動きのリスクの性質がビットコインとは異なる点を理解しておきましょう。
申し込めるのは18歳以上の日本居住者で、Binance Japanでの本人確認が済んでいることが条件です。Binance JapanはPayPayが40%を出資しており、PayPayマネーでの購入にも対応しています。取引所の詳細はBinance Japanのレビュー、PayPay連携はPayPayで仮想通貨を買う方法をご覧ください。
EPOS CRYPTO Card for bitbank:年会費をかけたくない人に
マルイグループのエポスカードが発行するVisaカードで、2026年4月27日に始まりました。年会費は永年無料で、還元はビットコイン、イーサリアム、日本発の暗号資産であるアスター(ASTR)から選べます。ASTRについては日本発の仮想通貨一覧で紹介しています。
このカードの大きな特徴は、毎月の請求額をbitbankの口座にあるビットコインで支払えることです。ビットコインを「使う」側の機能を国内の登録業者の枠組みの中で持っている、珍しいカードといえます。ただし後で説明するとおり、ビットコインで請求を払えば、その分は暗号資産を手放したことになり、税金の計算が必要です。bitbankは2026年10月1日にSBIグループの完全子会社になりました。取引所としての特徴はbitbankのレビューにまとめています。
SBI VISA 暗号資産カード:XRPやイーサリアムで貯めたい人に
SBIグループのアプラスが発行し、SBI VCトレードと連携するVisaカードで、2026年5月1日に登場しました。一般カードは0.5%、ゴールドは1.0%で、還元通貨はビットコイン、イーサリアム、XRPから申込時に選びます。日本ではXRPの人気が高く、2026年8月の国内現物取引高でもビットコイン、イーサリアムに次ぐ3位でした。年会費は初年度無料で、2年目から一般1,650円、ゴールド6,600円です。SBI VCトレードは入出金や暗号資産の送金手数料が無料なのも特徴で、詳しくはSBI VCトレードのレビューで解説しています。
どのカードを選ぶ?判断のポイント
4枚のどれが「いちばん得か」は、使い方によって変わります。迷ったら、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- すでに口座を持っている取引所はどこか:報酬はその取引所の口座に届くので、新しく口座を増やさずに済むカードが管理も税金の記録も楽です。
- どの通貨で貯めたいか:ビットコインならbitFlyer・EPOS・SBI、BNBならBinance Japan、XRPならSBI、ASTRならEPOSが選択肢です。
- 年会費が無料になる条件を満たせるか:Binance Japanカードは年10万円以上の利用で翌年も無料、EPOSは永年無料です。
- メインカードにできるか:還元を活かすには利用額が必要です。公共料金や通信費の支払い先として使えるかも確認しましょう。
国内の「貯める」カードの良い点
- 国内のカード会社が発行し、報酬は金融庁登録の取引所の口座に届く
- 支払いは円なので、買い物のたびに暗号資産の売却が発生しない
- Binance Japanカードは利用額の1.6%をBNBで還元
- EPOS CRYPTO Cardは年会費永年無料で、請求をBTCで払うことも可能
注意したい点
- 提携先の取引所の口座開設と本人確認が必須
- 還元は暗号資産で届くため、受け取り後の値下がりで価値が目減りすることがある
- クレジットカードの審査があり、誰でも発行できるわけではない
- 還元された暗号資産を売ったり使ったりすると課税対象になる
ポイントを暗号資産に交換する方法と比べたい場合は、ポイントで仮想通貨を買う方法も参考になります。楽天ポイントやPontaなどを1ポイント=1円前後で暗号資産に換えられるサービスが増えています。
日本で使える仮想通貨デビットカードはある?
暗号資産で直接支払う「使う」カードについては、慎重に見ていく必要があります。国内の金融庁登録業者が発行する、暗号資産残高から支払うデビットカードは、今回の調査では見つかりませんでした。検索で出てくる「日本で使える仮想通貨デビットカード」は、ほぼすべてが海外事業者のカードです。

こうしたカードは、手持ちの暗号資産やステーブルコイン米ドルや日本円など法定通貨と価値が連動するように設計された暗号資産・デジタル通貨。USDCやJPYCなど。を、決済の瞬間にカード会社のネットワークで使える通貨に換えて支払います。比較サイトのDeFiLlamaは日本向けに14種類、別の集計サイトは40種類のカードを挙げていますが、日本居住者が実際に申し込めるかどうかを各社の公式情報で確かめられたものはほとんどありません。
| カード | 発行元・運営の状況 | 日本居住者の申込(確認状況) |
|---|---|---|
| Crypto.com Visa | 金融庁未登録。公式ライセンス一覧に日本の記載なし | 第三者サイトで「日本では申込不可」。公式発表は確認できず |
| Bybitカード | Bybitは日本居住者向けサービスを終了(2025年12月発表) | 利用不可 |
| Bitget系のカード | Bitgetは2026年8月に日本居住者の新規登録を停止。11月1日から新規取引ができなくなる | 新規利用は現実的でない |
| Nexoカード | 金融庁未登録 | 第三者サイトで「日本は申込対象外」 |
| RedotPay、Tria、KAST、ether.fi Cash など | 金融庁未登録 | アフィリエイト記事などに「日本で利用可」とあるが、公式には確認できず |
金融庁は、日本居住者を相手に無登録で暗号資産の売買・交換を行う海外事業者に対して、繰り返し警告を出してきました。Bybit、MEXC、KuCoin、Bitgetなどが警告の対象になり、BybitやBitgetは日本からの撤退を決めています。2026年8月12日からは、無登録営業に対する罰則も強化されました。「使う」カードの多くは、こうした無登録の取引所やウォレットと一体で提供されているため、口座の凍結やサービス終了に巻き込まれるリスクがあります。各社の撤退状況は海外取引所の撤退・警告まとめで確認できます。
日本居住者は「貯める」カードから
海外の暗号資産カードは、旅行者や海外在住者が自国で作ったものを日本で使う分には便利な道具です。一方、日本に住んでいる人が新たに申し込む場合は、発行元の登録状況、利用規約上の居住国の条件、支払いのたびに発生する税金の記録という3つの負担を抱えることになります。当サイトでは、日本居住者にはまず国内の登録業者と提携したカードを検討することをおすすめしています。
Crypto.comのカードについては、英語版のCrypto.comカードと日本(英語)で、居住者と旅行者それぞれの状況を詳しくまとめています。
暗号資産で払うたびに税金が発生する仕組み
国税庁は、暗号資産で商品やサービスの代金を支払った場合、その暗号資産を手放した時点で損益が確定するとしています。具体的には、支払った商品の価額と、使った暗号資産の取得価額その暗号資産を手に入れるためにかかった金額。総平均法または移動平均法で計算する。との差額が所得になります。海外のデビットカードで暗号資産を使う場合、コーヒー1杯の支払いでも、理屈の上ではこの計算が必要です。
たとえば、1万円で買ったビットコインが値上がりして2万円分になったとします。このビットコインで2万円の買い物をすると、差額の1万円が利益として扱われます。日本の居住者であれば、この利益は原則として雑所得給与や事業などに当てはまらない所得。給与などと合算して税率が決まり、所得税と住民税で最大55%になる。になり、給与と合算して所得税(5〜45%)と住民税(10%)がかかります。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。
国内の「貯める」カードでは、買い物の支払いは円なので、利用のたびに暗号資産を売ったことにはなりません。ただし、還元で受け取った暗号資産をあとで売る、別の通貨と交換する、買い物に使うといった場面では課税されます。EPOS CRYPTO Cardで請求をビットコインで払う場合も、暗号資産を手放して支払いに充てることになるため、損益の計算が必要になると考えられます。還元が付与された時点の取り扱いは個別の確認が必要なので、付与日と円換算額を記録し、税務署や税理士に相談してください。
2026年3月に成立した改正で、一定の暗号資産の売却益などには20%の申告分離課税他の所得と合算せず、その所得だけに一律の税率をかける方式。株式の譲渡益と同じ考え方。(復興特別所得税を含め20.315%)が導入されることになりました。対象は登録業者を通じた取引に限られ、開始は早くても2028年と見込まれます。海外カードでの支払いが対象になるかは明確ではなく、総合課税のまま残る可能性があります。詳しくは仮想通貨の税金ガイドと分離課税20%はいつから?をご覧ください。
実際に暗号資産で払えるお店がどれくらいあるのかは、仮想通貨が使える店で整理しています。日本では店頭での暗号資産決済はまだ少なく、「貯める」カードやポイントを通じた間接的な使い方が中心です。
仮想通貨カードについてよくある質問
仮想通貨が貯まるクレジットカードはどれがいいですか?
普段使っている取引所で選ぶのが近道です。bitFlyerならbitFlyerクレカ、Binance JapanならBinance Japanカード(BNBで1.6%)、bitbankならEPOS CRYPTO Card、SBI VCトレードならSBI VISA 暗号資産カードが、それぞれの口座に報酬を貯める仕組みです。年会費と無料になる条件もあわせて比べましょう。
日本で使える仮想通貨デビットカードはありますか?
国内の金融庁登録業者が発行する「暗号資産で支払うデビットカード」は確認できませんでした。海外にはRedotPayやTriaなど日本で使えるとうたうカードがありますが、発行元は金融庁に登録されておらず、日本居住者が申し込めるかどうかも公式には確認できていません。
Crypto.comのカードは日本で作れますか?
Crypto.comは金融庁に登録されておらず、公式のライセンス一覧にも日本の記載はありません。第三者の比較サイトでは「日本では申込不可」とされています。海外で発行されたカードを旅行中に使うことは一般的に可能です。
カードの還元でもらった暗号資産に税金はかかりますか?
もらった暗号資産を売ったり、別の通貨と交換したり、買い物に使ったりすると、その時点の利益が課税対象になります。付与された時点の扱いは個別に確認が必要なため、付与日と円換算額を記録しておき、税務署や税理士に相談してください。
暗号資産で支払うと、なぜ税金がかかるのですか?
国税庁は、暗号資産で商品を買った場合、支払いに使った暗号資産の取得価額と商品の価額との差額を所得として扱うとしています。海外のデビットカードで暗号資産を使うたびに、この計算が必要になります。





