Fukuoka Web3

福岡のWeb3と仮想通貨:行政が後押しするスタートアップ都市

福岡には交換業者の本社もATMもありません。それでも、市と県が何年にもわたってWeb3やブロックチェーンのイベントを開き、外国人起業家向けのスタートアップビザを全国に先駆けて導入してきました。行政の取り組みと、福岡に住む人が実際に使える買い方・入金方法を整理します。

結論

福岡で暗号資産を買うなら、スマホで金融庁登録の交換業者を使うのが基本です。市内にATMはなく、ビットコインで払える場所はBTC Mapで1か所。一方で、福岡市はAstar連携(2022年)やFukuoka Web3 Pitch(2024年)、福岡県はブロックチェーンフォーラム(2025年12月)を開くなど、行政がWeb3を後押ししてきた街です。

  • 市・県の発表資料で日付を確認
  • 入金対応は各社の公式ヘルプで確認
  • 未確認の情報は「未確認」と明記
テーブルを囲んで話し合うチームのイラスト。福岡では市や県がWeb3のピッチやフォーラムを開いてきた

福岡はなぜ「Web3の街」と呼ばれるのか

0台九州・沖縄にある暗号資産ATM運営会社の公式情報(2026年10月確認)
1か所BTC Mapに載る福岡県内の決済スポットBTC Map(2026年10月22日取得)
915福岡県未来ITイニシアティブの会員数福岡県(2025年9月末)
12.5万人福岡県の在留外国人出入国在留管理庁(2025年末)

福岡は、暗号資産のインフラという点では地方都市の一つにすぎません。金融庁の登録一覧(2026年9月30日現在)に載る暗号資産交換業者資金決済法にもとづき金融庁(各地の財務局)の登録を受け、国内居住者向けに暗号資産の売買・交換・保管を行う事業者。27社のうち、福岡に本社を置く会社はありません。九州の財務局(福岡財務支局・九州財務局)に登録された交換業者もゼロです。ATMもなく、ビットコインで払える場所はBTC Mapで1か所だけです。

それでも「福岡 web3」と検索されるのは、行政の動きが目立つからです。福岡市は2015年に国家戦略特区の「スタートアップビザ」を全国で最初に始め、2020年には内閣府からスタートアップ・エコシステムの「グローバル拠点都市」に選ばれました。2022年以降はWeb3ブロックチェーンを土台にした次世代のインターネットの総称。暗号資産、NFT、DAOなど、利用者がデータや資産を自分で持てる仕組みを指すことが多い。を名指しした連携やイベントを続け、福岡県もブロックチェーンのフォーラムを毎年開いています。

このページでは、福岡市と福岡県の取り組みを日付つきで整理したうえで、福岡に住む人が実際に使える買い方、地元のデジタル銀行「みんなの銀行」からの入金、税金の窓口までを解説します。行政のWeb3施策は年度ごとに変わるので、ここに書いた事業が今も続いているとは限りません。最新の状況は市や県の公式発表で確認してください。

福岡市のWeb3施策:2022年からの歩み

福岡市のWeb3への関わりは、スタートアップ政策の延長線上にあります。外国人起業家の受け入れから始まり、2022年に「Web3」を前面に出した連携を発表、その後はイベントを通じて担い手を増やす方針をとってきました。確認できた主な出来事は次のとおりです。

  • 2015年12月スタートアップビザの受付開始 国家戦略特区の制度として全国で最初に始まりました(同年10月に認定)。
  • 2020年7月グローバル拠点都市に選定 内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点都市として、「福岡スタートアップ・コンソーシアム」で選ばれました。
  • 2022年10月Astar Japan Labとの連携 高島宗一郎市長がイベント「明星和楽2022」で発表し、福岡をWeb3の拠点にする狙いを示したと報じられました。
  • 2023年Web3.0タウンホールとFUKUOKA DAO CAMP 市の経済観光文化局創業支援課が、Fracton Venturesに委託して開催しました。
  • 2024年3月3日Fukuoka Web3 Pitch 天神のEngineer Cafe(中央区天神1-15-30)で開催。2024年2月9日の市の発表資料では、目的を「福岡市内におけるWeb3の機運醸成及びプレイヤーの創出」としています。
  • 2025〜2026年市独自の新事業は未確認 調べた範囲では、市が新たに打ち出したWeb3事業は見つかりませんでした。

2022年の連携の背景にあるAstar Networkは日本発のブロックチェーンで、その暗号資産ASTRは、ほかの日本発プロジェクトとあわせて日本発の仮想通貨一覧で紹介しています。2023年のFUKUOKA DAO CAMPは、ブロックチェーン上でメンバーが意思決定を行うDAO分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)。参加者がトークンなどを使って投票し、運営方針を決める組織の形。をテーマにした2日間のイベントでした。

見ておきたいのは、市の施策が一貫して「担い手づくり」に向いていることです。補助金で特定の事業を支えるというより、ピッチやタウンホールで人を集め、起業の入口を広げる。暗号資産を買う個人への優遇策はありませんが、Web3で起業したい人にとっては相談先が見つけやすい街だと言えます。

福岡県のブロックチェーン施策:フォーラムと飯塚

福岡県は、市とは別に独自の枠組みを持っています。2024年7月17日に県が設立した産学官の推進組織「福岡県未来ITイニシアティブ」です。会長はプログラミング言語Rubyの生みの親として知られるまつもとゆきひろ氏で、2025年9月末時点の会員は915の企業・団体。事務局は県の商工部先端技術産業振興課にあります。

このイニシアティブと県が主催しているのが「福岡県ブロックチェーンフォーラム」です。2024年版は11月28日に開かれ、2025年版は2025年12月22日(月)14時30分から、天神のONE FUKUOKA BLDG. 6階スカイロビー(中央区天神1-11-1)で開催されました。会場80人とライブ配信のハイブリッドで、参加は無料。共催は飯塚市、協力はFukuoka Blockchain Alliance(FBA)です。県の発表資料によると、プログラムは次のとおりでした。

福岡県「福岡県ブロックチェーンフォーラム2025」発表資料より作成
時間プログラム登壇者の所属(主なもの)
14:30〜14:40開会あいさつ福岡県知事、飯塚市長
14:40〜15:40トークセッション1「大阪・関西万博で生まれたMirrored Body®が実現するあたらしい未来」万博パビリオン関係者、Kuanya。モデレーターは「あたらしい経済」編集長
15:50〜16:00FUKUOKA学生ビジネスコンテスト2025 ファイナリスト発表学生
16:00〜16:50トークセッション2「福岡発ブロックチェーン最前線」みんなの銀行(Web3.0開発グループ)、トヨタ・ブロックチェーン・ラボ、アビスパ福岡
16:50〜17:05地元企業・団体のピッチ飯塚市、九州電力、ワーキングハセガワ

この顔ぶれからは、福岡のブロックチェーンが「金融」「スポーツ」「エネルギー」「自治体」にまたがっていることが分かります。共催の飯塚市は、ブロックチェーン技術「Tapyrus」を開発するchaintopeが約10年拠点を置く街として、県の特集記事でたびたび取り上げられています。同じ特集では、九州電力のNFTプラットフォーム、アビスパ福岡のスポーツDAO、みんなの銀行のステーブルコイン法定通貨などと価値が連動するよう設計された暗号資産・電子決済手段。日本円連動のJPYCなどがある。構想も紹介されています。ステーブルコインの全体像は日本円ステーブルコインの解説、NFTやDAOの国内事例は日本のWeb3ゲーム・NFTをご覧ください。

スタートアップビザ:外国人起業家の入口

福岡市の「スタートアップビザ」は、外国人が福岡で起業する準備のための在留資格の特例です。市の公式ページ(2025年10月17日更新)によると、市が事業計画を事前に審査し、「特定活動」の在留資格を認める仕組みで、期間は最初が1年、最長2年。その間に通常の「経営・管理」の在留資格の要件を満たすことが求められます。

対象業種には、フィンテックや半導体関連、ソフトウェア開発などの知識創造型産業のほか、健康・医療・福祉、環境・エネルギー、物流、貿易関連が挙げられています。申請の窓口は外国人起業家向けのワンストップ拠点「Global Business Support(GBS)」で、説明は福岡市役所14階で受けられます。証明書の発行には1件300円のオンライン手数料がかかります。

ビザがあっても、暗号資産交換業はできない

スタートアップビザは在留資格の特例で、事業の許認可を代わりに与えるものではありません。暗号資産の売買や交換を仲介する事業を営むには、資金決済法にもとづく暗号資産交換業の登録が別に必要です。無登録で国内居住者向けに営業することは違法です。規制の全体像は日本の暗号資産規制で解説しています。

みんなの銀行から取引所に入金できる?

カードやコインが並ぶスマートフォンのアプリのイラスト。スマホ完結型のみんなの銀行からの入金イメージ

福岡ならではの入金事情として知っておきたいのが、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)のデジタルバンク「みんなの銀行」です。スマホアプリで完結する銀行で、福岡県のフォーラムにもWeb3.0開発グループの担当者が登壇していました。

暗号資産の入金先としての対応は、交換業者によって分かれます。BitTrade(関東財務局長 第00007号)は公式ヘルプで、みんなの銀行を、ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行、イオン銀行と並ぶクイック入金提携銀行のネットバンキングから操作し、取引所の口座に数分で日本円が反映される入金方法。即時入金とも呼ばれる。(手数料無料)の対象として案内しています。一方、GMOコインの即時入金の対象銀行(ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行、ゆうちょ銀行など)には、みんなの銀行も福岡銀行も含まれていません。対象外の銀行からは通常の振込になり、反映まで時間がかかります。

つまり、福岡銀行やみんなの銀行をメインに使っている人は、交換業者を選ぶ段階で「自分の銀行から即時入金できるか」を確認しておくと手間が減ります。どの交換業者にもネット銀行の口座が一つあれば対応しやすいのも事実です。また、詐欺対策として振込名義と口座名義が違う送金を止める銀行が増えているので、必ず本人名義の口座から入金してください。各社の入金手段は入金・購入方法まとめで比較しています。

福岡で仮想通貨を買う・使うには

購入の手順は全国共通です。金融庁の登録一覧で交換業者を確かめ、スマホで本人確認をして、本人名義の口座から入金し、少額から買う。この流れはビットコインの買い方ガイドで画面ごとに解説しています。どこで買うか迷ったら、取引所の比較表から入金方法との相性で選ぶのが近道です。

現金で暗号資産を扱えるATMは、九州・沖縄には見つかりませんでした。COINHUBは2026年6月の発表で、大阪とともに福岡への設置も計画に挙げていましたが、設置は確認できていません。稼働中と案内されている機械は東京と大阪だけで、手数料も売買とも10%と高めです。詳しくはビットコインATMの設置場所をご覧ください。

ビットコインで支払える場所は、BTC Mapで確認できたのが中央区大名2-4-31の「Coffee Stand Seed Village」1か所です。オンチェーンブロックチェーンに直接記録されるビットコインの通常の送金。Lightningより時間と手数料がかかるが、どのウォレットでも使える。のビットコイン払いのみに対応しており、Lightningには対応していません(2026年9月23日確認)。九州で確認できた唯一のスポットなので、訪ねる前に店に確かめてください。全国の一覧は仮想通貨が使える店にあります。

福岡のコミュニティと情報の追い方

福岡のWeb3関連の情報は、行政と民間の両方から出てきます。追いかけるときの起点になるのは、次のような場所です。

Engineer Cafe
天神のエンジニア向け拠点。2024年のFukuoka Web3 Pitchの会場になりました。
Startup Cafe
福岡市の起業相談窓口。スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」内にあります。
福岡県未来ITイニシアティブ
県のブロックチェーンフォーラムの主催者。企業の取り組み紹介も発信しています。
Fukuoka Blockchain Alliance(FBA)
2025年のフォーラムに協力した地元のブロックチェーン団体。

一方、福岡で定期的に開かれているビットコインのミートアップは、今回の調査では確認できませんでした。小規模な勉強会はconnpassやLumaで「福岡 web3」「福岡 ブロックチェーン」と検索すると見つかることがあります。全国の主要イベントはイベントカレンダーにまとめています。

福岡での確定申告と相談先

暗号資産の利益は原則として雑所得給与・事業などに当てはまらない所得の区分。暗号資産の利益は原則ここに入り、給与などと合算して税率が決まる(最大55%)。で、所得税と住民税を合わせて最大55%の税率がかかります。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。計算方法は仮想通貨の税金と確定申告で解説しています。

税務署
提出先は住所地の税務署です。国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」で郵便番号から検索できます。
福岡国税局
〒812-8547 福岡市博多区博多駅東2-11-1 福岡合同庁舎/092-411-0031。福岡県・佐賀県・長崎県を管轄。
福岡財務支局
〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-11-1 福岡合同庁舎本館。福岡・佐賀・長崎の金融行政を担いますが、登録されている交換業者はありません。
九州のほかの県
熊本・大分・宮崎・鹿児島は熊本国税局と九州財務局の管轄です。

福岡国税局と福岡財務支局は、博多駅の東側にある同じ福岡合同庁舎の敷地に入っています。交換業者とのトラブルは、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)でも相談できます。沖縄の事情は沖縄の地域ガイドで紹介しています。

千葉愛媛 群馬広島 茨城 香川鹿児島 高知熊本 宮崎 長崎 大分岡山 佐賀埼玉 島根 栃木徳島 鳥取 山口

Map: svg-maps/japan, CC BY 4.0

色のついた都道府県をクリックすると各地域のガイドに移動します。地図:svg-maps/japan(CC BY 4.0)

福岡のWeb3・仮想通貨事情:よくある質問

福岡市はWeb3を支援していますか?

支援してきました。2022年10月にAstar Japan Labとの連携を発表し、2023年には市の創業支援課がWeb3のタウンホールとFUKUOKA DAO CAMPを開催、2024年3月3日にはEngineer Cafeで「Fukuoka Web3 Pitch」を開いています。ただし2025〜2026年の市独自の新しいWeb3事業は確認できませんでした。

福岡県ブロックチェーンフォーラムとは何ですか?

福岡県と福岡県未来ITイニシアティブが主催するブロックチェーンの普及イベントです。2025年版は2025年12月22日に天神のONE FUKUOKA BLDG.で開かれ、飯塚市が共催、みんなの銀行やトヨタ・ブロックチェーン・ラボ、アビスパ福岡の担当者が登壇しました。参加は無料でした。

福岡にビットコインATMはありますか?

確認できた範囲ではありません。九州・沖縄に暗号資産ATMはなく、稼働中と案内されている機械は東京(秋葉原)と大阪(難波・西区)だけです。COINHUBは福岡への設置を計画として挙げていますが、設置は確認できていません。

みんなの銀行から仮想通貨取引所に入金できますか?

BitTradeは公式ヘルプで、みんなの銀行を手数料無料のクイック入金に対応する銀行として案内しています。一方、GMOコインの即時入金の対象には含まれていません。使いたい交換業者が対応しているかを事前に確認してください。

福岡のスタートアップビザで暗号資産の事業はできますか?

スタートアップビザは外国人の起業準備のための在留資格の特例で、最長2年まで認められます。フィンテックは対象業種の例に挙がっていますが、暗号資産の売買を仲介する交換業を営むには、ビザとは別に資金決済法にもとづく登録が必要です。

福岡で確定申告の相談はどこにすればいいですか?

提出先は住所地を管轄する税務署で、e-Taxならオンラインで完結します。上部機関の福岡国税局(博多区博多駅東)は福岡・佐賀・長崎の3県を管轄しています。個別の判断は税務署の電話相談か税理士に確認してください。

出典・参考資料

  1. 福岡県「福岡県ブロックチェーンフォーラム2025」開催
  2. 福岡市「Fukuoka Web3 Pitch」開催について(2024年2月9日)
  3. Fukuoka City: Startup Visa (Program to Support Foreign Entrepreneurs)
  4. BitTrade ヘルプセンター(クイック入金)
  5. GMOコイン 入出金について
  6. 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(2026年9月30日現在)
  7. 国税庁 国税局の所在地一覧

CryptoJapan編集部
金融庁の登録情報、各社の公式手数料ページ、国税庁の公表資料をもとに編集部が作成・検証しています。内容は投資助言ではありません。 評価方法